常総学院(茨城)鳴門(徳島)秀岳館(熊本)明徳義塾(高知)が8強進出を決めた。常総学院は優勝候補の履正社(大阪)に7-4で快勝。小技を絡めたそつのない攻撃で、2回途中から救援したドラフト1位候補の寺島成輝投手(3年)を攻略した。

 常総学院の“右パンチ”が、履正社のドラフト候補左腕コンビを粉砕した。初回2死一、三塁。5番清水が、山口の初球をとらえた。右中間を真っ二つに破る先制2点二塁打。「初登板なので、緊張して甘い直球が来ると思った。逆方向に理想的な打撃ができた」。2回1死一、二塁で相手エースを引っ張り出すと、今度は有村が140キロ直球を右中間へ2点三塁打。右打者が7安打のうち5安打で5打点をたたき出し、優勝候補の筆頭を倒した。

 点差が開いても攻め続けた。5回無死二塁から、得意のバントで揺さぶった。敵失と暴投で追加点を奪うと、清水の投前への犠打が寺島の野選を誘った。さらに石川がスクイズを決めて「4者連続バント」。清水は「(野選は)捕手が寺島に三塁へ投げるように指示した。明らかに焦っていた」。

 寺島対策も実った。前日練習で球速を145キロに設定した打撃マシンをマウンドより約3メートル前に置き、体感160キロの速球で目を慣らした。さらに、寺島のファンで投球フォームをまねている吉田秀磨投手(2年)が打撃投手を務めた。メンバー外の左腕は183センチ、85キロの寺島と身長、体重もほぼ同じ。03年夏に主将として同校の全国制覇に貢献した松林康徳部長(30)は「対策と本番をイコールにする疑似体験が、うまくいったと思う」と話した。

 攻略のポイントも見つけていた。履正社の横浜(神奈川)戦を分析した清水は「みんな振り遅れていた。大きく振ったら前に飛ばない。バットを指1本ぶん短く持った」。左翼方向に強い風が吹いていても、全員がコンパクトな振りを貫いた。準々決勝で立ちはだかる強打の秀岳館にも、攻めて勝つ。【鹿野雄太】

 ◆1イニング4犠打 常総学院が5回に4犠打。失策と野選が絡んで記録。甲子園の1イニング最多犠打は不明だが、ちなみにプロ野球記録は3(多数あり)。

 ◆奪三振ゼロ 常総学院・鈴木昭が三振を1個も取らずに完投。奪三振ゼロで完投勝利は08年松本(関東第一)が鳴門工戦で記録して以来。