背番号11がマウンドで躍動した。日大山形の1年生左腕・田中涼大投手が、酒田光陵打線を8回途中3失点に抑え、チームを3年ぶりの東北大会へ導いた。

 最速は131キロながら、速球は球速以上に伸びがある。カーブでカウントを稼ぎ、スライダーで打者を打ち取る投球で、県大会初登板初先発の大役を果たした。それでも、田中は「60点くらい。最初はテンポよく投げられていたが、6回からコントロールが乱れてしまった。反省します」と、厳しく試合を総括した。

 自戒しながらも成長は感じている。新チーム結成以降は、ポール間走や、鉄棒を両肩に担いで大股で進むランジなど下半身の筋力強化を徹底し、速球の伸びが増した。荒木準也監督(44)は、この日の田中の投球に「上出来です。皓介と刺激し合ってほしい」と目を細める。同じ1年生のエース近藤皓介は、ライバルではなく「助け合える存在」と田中は言う。1年生の2枚看板で、7年ぶりの秋制覇を実現させる。