東北6県のトップを切って、第99回全国高校野球選手権青森大会(7月13日開幕)福島大会(同7日開幕)の組み合わせ抽選会が21日、青森市内と郡山市内で行われた。福島では、不調で春の県大会を登板回避した日大東北の楡井(にれい)龍之介投手と磯上海大(かいと)投手(ともに3年)の2枚看板が完全復調。夏4年連続敗戦中の王者聖光学院撃破を誓った。

 このままじゃ終われない。初戦(2回戦)の福島を撃破し、お互い順当に勝ち上がれば、夏11連覇を狙う聖光とは準決勝で激突する。楡井が「同じ高校生。相手にかかわらず全力でいく」と前を向けば、磯上も「自分たちが10連覇させているのが悔しい」と闘志を燃やす。昨夏の聖光との準決勝は磯上が先発するも2死しかとれず降板。4年連続で夏は宿敵に敗れている。

 昨秋は両輪で東北大会8強に進出したが、今春は2人の調子が上がらず登板を回避。県中支部予選、県大会と2度も公立の田村に敗れ初戦敗退した。「投げられない自分が悪い。チームに迷惑をかけた」と磯上はペースを上げて5月中旬の練習試合から復帰。「変化球の切れは去年の秋より上」と手応えを口にする。右肘の違和感で出遅れていた楡井も「去年の秋の球威に戻ってきた」と最速139キロの直球に自信を見せる。

 中学はともに県内の軟式野球部に所属し、夏の県予選準決勝で投げ合ったライバルだった。高校ではともに1年夏からベンチ入りし、切磋琢磨(せっさたくま)してきた。楡井は「投手としてよき戦友」とたたえ、磯上も「あいつがいるから、ここまでこれた」とお互いを認め合っている。昨夏は磯上が背番号1をつけたが、今年は楡井が任される。2人とも「マウンドに立っている方がエース」と共闘を宣言。信頼で結ばれたWエースが03年以来14年ぶり8度目の夏の扉をこじ開ける。【高橋洋平】