銀次先輩やりました! 楽天銀次内野手(29)の母校・盛岡中央(岩手)が、優勝候補の一角、第4シードの花巻東を1-0で撃破した。3回に飛び出した2番後藤厚樹内野手(2年)の公式戦初のソロ本塁打を、背番号11の左腕石沢優馬(2年)が5安打完封して守り切った。波乱を起こしてのベスト16入り。狙うのは99年以来2度目の甲子園だ。

 偉大な先輩、銀次に刺激を受ける2年生コンビが、勝利の立役者になった。打のヒーロー、2番後藤が声を弾ませた。「ヒットじゃなくてホームランなんで。うれしいです」。西里潤也監督(37)が「打てる選手から打順を組む」と、楽天の2番ペゲーロをほうふつさせる強打。3回の1発は、90キロの体重を生かしたパワーで、内角の速球を左中間の最深部に放りこんだ。

 投げては背番号11の左腕石沢優が、虎の子の1点を最後まで守り切った。130キロに満たない速球を、巧みに内外角に投げ分けた。「低めに集めて抑えることができた」と胸を張った。西里監督が「一番調子がいい」と、初戦(2回戦)に続いて先発に抜てき。2回無死二、三塁のピンチも、得点を与えなかった。

 後藤、石沢優の2人は寮生活を送り、楽天の試合を寮の食堂のテレビで頻繁に見る。銀次の高校時代のパネルも飾られている。後藤は「銀次さんの成績とか、ちょくちょく調べている」と笑った。石沢優は「誇りです」と言い、盛岡中央が生んだ楽天の中心選手を大きな励みにする。

 05年の岩手大会決勝。高校3年だった銀次は、捕手で4打数4安打と活躍しながら、花巻東に敗れて甲子園をあと1歩で逃した。12年前の先輩の無念を背負う後輩たちが、今度は花巻東を破った。石沢優は「銀次さんの分まで」と力を込めた。盛岡中央のユニホームはえんじ色。楽天のチームカラー、クリムゾンレッドとも似る。

 打撃好調な銀次の楽天は、開幕前に低かった下馬評を翻して前半戦の首位ターンを決めた。盛岡中央はV候補を撃破した。ユニホームだけでなく、周囲を驚かす点もダブる。「やるからには甲子園を目指している」と後藤は言った。初出場した99年から遠ざかる聖地。その道が大きく開けた。【久野朗】