六日町に突出した選手はいない。だからこそ、誰もがゲームの主役になる可能性を秘めている。延長11回、4-3で勝った1回戦の新潟南戦は3-3の11回表に、先頭の代打・上村信人外野手(3年)が右翼越え三塁打。1死後に大津祥樹投手(3年=打席時は右翼手)が、右中間への適時三塁打で決勝点を決めた。第6シード高田との2回戦は延長10回、先頭の池田真遊撃手(3年)が中前打で出塁し、2死三塁で南雲拓実外野手(3年)が左中間にサヨナラ打。5-4で劇的勝利を収めた。岡村智紀監督(39)は「ウチはスター選手がいないのが強みで、最大の武器。誰が活躍してもおかしくない」と、次戦もニューヒーロー出現に期待した。

 4回戦に進んだ昨夏の先発メンバーが7人残る。その選手たちを中心とした新チームは、夏休みに学校近くの飯綱山古墳群を走り込んだ。起伏のある800メートルの周回コースを多い日で30周、距離にして24キロ。走った後に練習を始めるハードメニューに取り組んだ。95年の甲子園出場時に2年生の控え投手だった岡村監督は、「チームの入り方は当時と同じ」と言う。金井主将は「あの時の走り込みで気持ちを作った。それよりきついことはないから試合は楽しい」と話した。六日町ナインは、どんな試合展開も楽しむだけの強い心で、夏に臨んでいる。【涌井幹雄】