成田(千葉)尾島治信監督の息子、一晟外野手(3年)が、両親にビッグプレゼントを贈った。9回1死から、直球をフルスイングした打球は右中間へ。50メートル走6秒の俊足でランニングホームランにし、3点を加え試合を決めた。この日は母宏美さん(49)の誕生日。母は「最高のプレゼントをもらった気分です」。実は17日は父の誕生日で、両親への“祝砲”となった。

 一晟は2人兄弟で幼少期から練習や遠征で留守がちだった父から「お前は、お兄ちゃんであり、お父さん。家族を守れ」と厳しく育てられた。小学5年のときに「お父さんはどうして僕ばかり怒るの。いつも家にいないのに、僕のこと何がわかるの」と反抗期になった。

 しかし、その年の夏、成田は好投手の中川涼投手を擁し甲子園出場を果たした。采配を振る父を間近で応援し、「お父さんはすごいんだ」と尊敬するようになった。それ以来、「父と甲子園に行きたい」と夢見てきた。父は「今日は、ランニングホームランまでの打席で捕飛と見逃し三振。話にならない。この野球部にいる以上、親子の縁を切っている。悪ければ使わない」と手厳しい。それでも一晟は「後悔がないよう戦っていきたい」と、気持ちを引き締めた。【保坂淑子】