青森山田の1年生左腕平沼海斗が大事な夏の初戦に先発、浪岡を相手に2回を無安打無失点に抑えた。打っては先制の2点二塁打を放つ活躍。平沼は昨年、栃木下野シニアでリトルシニア日本選手権優勝投手の大物ルーキー。県大会初登場で鮮烈デビューを飾った。1回裏、先頭打者を二ゴロに打ち取った後、次打者を3球三振、さらに次も三振に切って取った。3年生でも緊張する夏の初戦。1年生とは思えない堂々たるマウンドさばきで3者凡退に打ち取った。

 続く2回表2死一、二塁で打席に立った9番平沼は、2者をかえす先制の左中間二塁打を放った。平沼は「いい緊張感を持って試合に入れた。腕がよく振れてたと思う。2回に気を抜いて死球を出したのが反省点」と淡々と話した。ルーキーの活躍で勢いに乗った青森山田は猛攻15安打、平沼を含む3人の投手で無安打無失点に抑え完勝した。

 平沼のストレートは最速130キロほどだが、球威がありカーブなど変化球を含めて制球力が抜群だ。6月の東北(宮城)との練習試合では先発3回を1失点と結果を出していた。先発起用を決断した兜森崇朗監督(37)は「落ち着いて投げ、チームの流れをつくってくれた」とたたえた。

 青森山田の夏は、09年に青森初の6連覇を達成して以来、甲子園から遠ざかっている。8年ぶりVを目指す夏に現れた新星は「先輩ナインの思いを背に甲子園を目指す」。度胸満点のルーキーが伝統校を活気づかせる。【北村宏平】

 ◆平沼海斗(ひらぬま・かいと)2001年(平13)6月26日、茨城県筑西市生まれ。小学校2年から古里野球スポーツ少年団で野球を始めた。中学時代は栃木下野シニアでプレー。神宮球場で決勝が行われるリトルシニアの最高峰日本選手権で昨年優勝、最優秀選手賞も受賞した。172センチ、76キロ。左投げ左打ち。家族は両親、弟。