最速144キロを誇るプロ注目左腕の仙台・佐藤隼輔(3年)が名取北を9回5安打完封し、5-0で3年連続の初戦突破に導いた。プロ10球団16人のスカウトが見守る中、6回途中から両足がつるアクシデントに耐えて4者連続含む毎回の18個の三振を奪った。

 左腕を上から振り下ろすだけで、簡単に三振がとれた。佐藤隼は9回の全アウトを空振り三振に打ち取ると、笑いもせず整列に加わった。「三振は結果的にとれただけ。序盤から球数が多くなって力んでしまった」。180センチ、77キロの均整のとれた体格から、この日最速141キロのクロスファイアを投げ込んで右打者の内角をえぐった。鋭く曲がる決め球スライダーも自在に織り交ぜた。自己最多を4つも更新する毎回の18個(見逃し5個)の三振を奪ってみせたが、30度を超える炎天下で138球を投げきった背番号1に笑顔はなかった。

 機転を利かせてアクシデントを乗り越えた。自ら先制打を打った直後の6回裏途中から両足がつりだした。「ここまで暑いのは経験したことがない。試合で足がつるのは初めて。両足に力を入れると痛かったので、逆に力を入れず制球重視にした」。7回以降は低めを突く投球に切り替え、内野安打1本で切り抜けた。