啓新(福井)の最速152キロ右腕、牧丈一郎投手(3年)が快投を演じた。3-2とリードした直後の6回。「逆転してくれたから、ランナーを出さない」とマウンドへ上がった。この日最速148キロの直球とスライダー。2週間前に仕上げたカットボールで、死球を与えたものの、4イニングを打者12人で抑えた。

 3月末に左すねを疲労骨折。なんとか夏に間に合った。プロ5球団のスカウトが見守る中での好救援に、大八木治監督(63)は「カットボールが良かった。直球は速くてキレがあったけど、(スピードが)あと5キロは出る」と、この日以上の剛球を予告した。

 中学3年時に、進学先を甲子園常連校の明徳義塾(高知)と迷った。「あっち(明徳義塾)は自分がいなくても、甲子園に行ける。でも、ここ(啓新)を自分が甲子園に連れて行きたい」と決めた。「当時は調子に乗ってたんです」と苦笑するエースが、創部6年目のチームを初の聖地に導く。