富士が部員不足の危機を乗り越え、1998年以来19年ぶりの16強入りを果たした。沼津東との「進学校対決」で7-3。1点を追う8回裏に糟谷慧(3年)の2点適時打などで5得点し、逆転勝ちした。昨秋まで部員13人だったチームは、5人の3年を中心に団結し、ノーシードから快進撃を見せている。

 頼れる3年が試合を決めた。富士は1点を追う8回裏、主将の山田拓未遊撃手(3年)が右前打で出塁。これを口火に1死満塁のチャンスを作ると、代打の杉山士雄(1年)は四球を選んで押し出しで同点。なおも、2死満塁で9番糟谷が左前に勝ち越しの2点適時打を放った。「抜けると信じていました」。糟谷は歓喜し、ベンチに向けてガッツポーズを繰り返した。その勢いでさらに2点を追加。打者11人計5点のビッグイニングになった。

 投げてはエース佐野大心(たいしん=3年)が、3試合連続完投。広田尭大捕手(3年)は声でチームを鼓舞し、佐野創汰(3年)は4回に好走塁で得点した。3年部員は5人だが、全員が先発。最後の夏に懸ける思いを体現した。

 久保田達也監督(55)も感慨深げに言った。「まさかここまで来られるとは…。信じられません」。昨秋の新チーム結成時の部員は13人。実戦形式の練習もできず、球拾いをするだけでも長時間を要した。練習試合では主力選手も三塁コーチを務め、ライン引きやスコアボードなどの雑用も全員で分担してきたという。山田主将は「本当に大変でしたが、人数が少ない分、団結することができました」と胸を張った。

 8強進出が懸かる4回戦では、加藤学園と対する。糟谷は「とにかく粘り強く戦って、必ず勝ちます」と言葉に力を込めた。目標は1979年(昭54)以来38年ぶりの夏の甲子園出場。4月に入部した1年13人のためにも、まだまだ「団結の富士」を見せていく。【神谷亮磨】