迷采配が名采配になるから、久慈には不思議な力がある。中田は1度ベンチに戻ったことで「代えられないことになったので自分のボールを投げようと、開き直った」と明かした。速球を中心に後続2人を遊飛、左飛に打ち取った。初めて甲子園の土を踏んだ79年以来38年ぶりに準決勝、決勝にまで進出。佐々木監督は「苦しい試合でしたけど、選手がよくやってくれました」と胸をなで下ろした。

 94年の盛岡四から22年間も遠ざかる公立校の優勝。今日22日の決勝はV候補筆頭、私学の盛岡大付と顔を合わせる。公立校の負の歴史を止める一戦にもなるが、佐々木監督は「意識はないですよ。選手たちと野球をやるだけです」と言った。ただ9回の中田の初球が、球審の足に当たらずに暴投となり、点を許していたら流れは…。久慈(くじ)運ならぬ、大きな球運が甲子園へ後押しする。【久野朗】

 ◆野球規則3・05(b) ある投手に代わって救援に出た投手は、その時の打者または代打者がアウトになるか一塁に達するか、あるいは攻守交代になるまで、投球する義務がある。(抜粋)