弘前学院聖愛が弘前東を2-1で下し、ベスト4進出を決めた。投げては、5回から継投を予定していた先発の平山泰我(3年)が好投し3安打完投。打っては、8回に2番・鈴木完汰内野手(2年)が生涯初となるソロ本塁打で勝ち越すなど、うれしい誤算が続いて弘前対決を制した。

 2-1で迎えた9回裏2死満塁。緊張のマウンドを平山が楽しんだ。最後の打者を三塁ゴロに打ち取ると、喜びを爆発させた。直前にベンチから伝令が走る。原田一範監督(41)の指示は「しびれる場面を楽しめ!」。すべてを託された平山は、決め球のチェンジアップで勝利を決めた。

 継投策に出るはずが、そのチェンジアップがさえまくって、5回まで強力打線の弘前東を2安打1失点に封じた。「最初から飛ばしていけるところまでいこうと思った。気持ちを出して投げれば打者が打ち損じてくれる。死球を与えるぐらい、内角をえぐる強気の攻めで投げました」。原田監督は「うれしい誤算です。5回で代える予定でしたが2安打に抑えていたので代える勇気がありませんでした」と振り返る。

 うれしい誤算は、もう1つ。1-1で迎えた8回表無死、先頭打者の鈴木が誰も期待していなかった1発を左翼スタンドに運んだ。「初球をバントで出塁しようかと思いましたが内角に厳しくこられたので切り替えた。打った感触? 本塁打を打ったことがないのでよくわかりませんでした」と鈴木。本塁打と気付かずに二塁まで全力疾走し勝ち越しホームを踏んだ。

 「たまたまツキが聖愛にあった結果。うれしい誤算が続いたおかげです」と原田監督。大会前の抽選会でも、初戦から決勝まで全試合を、地元はるか夢球場を引き当てた幸運は終わっていない。うれしい誤算のツキを味方に、4年ぶりの決勝を目指す。【下田雄一】