7日開幕の全国高校野球選手権(甲子園)に初出場する藤枝明誠の光岡孝監督(39)が2日、怒声を上げた。京都・亀岡市内で練習中だった。

 「守れないやつが使えるか! 全然、足が動いてないぞ!」

 ノック開始直後から激しいゲキを飛ばし、清水一真内野手(3年)と河合郁拓外野手(3年)を名指しで注意した。シート打撃では2人をレギュラー組から外し、秋山玲津己内野手(2年)と高田竜希内野手(2年)に交代。チームに緊張が走った。

 指揮官には狙いがあった。県大会準決勝の静岡戦で23安打14点、同決勝の日大三島戦で20安打23点と打線が爆発したが、本来はエース久保田蒼布(そう=3年)を中心とした守りが持ち味。練習後、光岡監督が冷静に説明した。

 「気が緩むのは怖いことです。内野だけでなく外野も含めたディフェンスから攻撃につなげるのがうちの野球。しっかりした守備があったからこそ、今ここにいられることを認識してほしいんです」

 一方で打線は好調を維持している。1番常盤勇汰外野手(3年)が、大阪入り後の「チーム1号」を右中間に放ち、清水、高田、秋山が、次々とアーチをかけた。「昨日の練習で甲子園の景色、ボールの見え方が確認できたので、しっかりイメージして打てました」と常盤。打撃好調のまま、守備に「喝」が入った藤枝明誠が、気を引き締め直して本番に向かう。【鈴木正章】