リズムの良さは趣味の音楽鑑賞が好影響している。父啓太さん(51)はオロナミンCや富士通ケータイなど数々のCMソングを手掛けた音楽プロデューサー。父の影響でトランス、テクノといったダンスミュージックが大好きだ。この日も音楽を聴いてストレッチをして朝食を取って球場入り。また、応援席からのブラスバンドの演奏も「乗れました」と好投を後押しした。アルプス席で息子の好投を見守った啓太さんを「こんなにうれしいことはない」と感激させた。

 「完封したかった」と綱脇は少し残念そうだったが、9回は抑え役でプロ注目右腕の清水にマウンドを譲った。その清水が最速148キロ速球で1回を無失点に抑え2三振を奪い試合を締めた。岩井隆監督(47)は「2人の継投がうちの形。それと次も見据えて」と説明した。

 一昨年が8強、高橋昂也(広島)を擁して臨んだ昨夏は16強。今夏もプロ注目の西川中心の強力打線と「綱脇-清水」の勝利の方程式でまず1勝。関東で夏の優勝経験がないのは埼玉だけ。99回目の夏、花咲徳栄が大きな花を咲かせてみせる。【福田豊】

 ◆綱脇慧(つなわき・すい)1999年(平11)5月11日生まれ。幼少期は落ち着きがなく、両親が与えたボール遊びをすることで改善されたことから小学1年で野球を始める。東京・高陵中時代は東京城南ボーイズでプレー。甲子園は2年春夏、今夏で3度目。これまでで最高の思い出はオランダのDJ、アーミン・ヴァン・ブーレンを生で見たこと。180センチ、80キロ。右投げ右打ち。家族は両親と弟。慧の名は母が音を父が字を決めた。