静岡(中部1位)が9-7の逆転勝ちで常葉大菊川(西部1位)を破り、3年ぶり13度目の優勝を飾った。序盤から追いかける展開になったが、7回裏、7番山本貫太内野手(2年)の逆転2ランで流れを変えた。東海大会は21日から愛知で開催され、静岡、常葉大菊川、常葉大橘の3校が出場。王座奪還の静岡は、2年連続でのセンバツ出場を目指す。

 高校1号が静岡の逆転弾になった。6-7の7回裏2死一塁。山本に打順が回ってきた。前の打席では、フェンス手前まで中飛を放っていた。「タイミングは合っている」。自信を胸に好球を待ち、3球目の高めのスライダーを捉えた。打球が左翼手の頭上を越えるのを確信すると、一心不乱に走った。瞬間、一塁側スタンドが沸いた。それに気付いて左翼側を見ると、打球がフェンスを越えていった。

 「入ると思わず、思い切り走りました。後輩たちの前で良いプレーができて良かったです」

 一塁側には、中学時代に所属した静岡裾野シニアの後輩たちも駆けつけ、山本に声援を送っていた。

 静岡裾野シニア時代の山本は投手で、原賀凌(日大三島2年)上杉龍平(東海大相模2年)と3本柱だった。だが、静岡では打力を見込まれ、野手に専念している。昨年の秋季中部地区大会では「5番・右翼手」で先発出場した。山本は当時を「荷が重かった」と振り返る。結果も残せず、以降は代打要員になった。

 今夏は準決勝で敗退。新チームになり、山本は先発の座をつかんだが、本来の打撃は戻らなかった。秋季中部地区大会準決勝の藤枝明誠戦では再び先発を外れた。それでも気落ちせず、盛り上げ役でチームを支えた。練習中も声を張り上げ、仲間を鼓舞する。その姿があるからこそ、山本の本塁打でベンチは最高の盛り上がりを見せた。7回から登板して好投した鈴木翔也投手(2年)も「いつも頑張っている貫太が打ったから、気持ちが高まりました」。

 今年のセンバツは70回記念大会で、東海地区の出場枠も2枠から3枠になる。昨秋の静岡は東海大会優勝で、明治神宮大会に出場。早実戦で最後の打者になった山本は「もう1度神宮に立ってからセンバツに行きたいです」。東海大会での目標は、あくまで優勝だ。【大野祥一】