第90回記念選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)に21世紀枠で選ばれた由利工(秋田)が27日、同校グラウンドで練習を行った。東北勢の同枠は釜石、不来方(ともに岩手)に続く3年連続での選出となる。由利工のユニホームは白地をベースにアンダーシャツとソックスが紫色で、偶然にも岩手の2校と一緒だ。1勝を挙げた釜石、10人で戦って先制点をもぎとった不来方に続いて、最速142キロのエース右腕佐藤亜蓮(2年)を軸に春の聖地で大暴れする。

 一面銀世界となったグラウンドで、佐藤亜は本番を待ち切れなかった。センバツ出場決定から一夜明け、聖地への情熱は燃え上がる一方だった。東北勢3年連続となる21世紀枠で、思う存分に暴れてみせる。

 佐藤亜 自分たちは田舎者。どことやっても緊張すると思うけど、野球を楽しみたい。甲子園で校歌を歌うのが目標。

 過去2年の好例を踏襲する。岩手勢の21世紀枠出場校はともに白地をベースにアンダーシャツとソックスは紫で、由利工と一緒の色だ。偶然を伝え聞いた佐藤亜は「去年の不来方はテレビで見てて、先制したのは知っている」と不敵に笑った。16年の釜石は21世紀枠対決を制し、初戦を突破。17年の不来方も部員10人ながら先制点を奪った。東北の21世紀枠において、紫はラッキーカラーと言える。

 偶然が重なる。佐藤亜は「紫色のチームは学ぶところがあるし、縁もある。野球を教えてもらった相手ばかり」と目を光らせた。昨秋の中央地区大会準決勝で延長13回サヨナラ勝ちした金足農。その後に行われた県の強化試合で完敗した関東第一(東東京)。秋の東北大会8強で肉薄した花巻東(岩手)。ユニホームに紫を使っている強敵の3チームから、高いレベルの技術を吸収してきた。

 この日は雪がふぶく中、タイヤ投げなどで調整を続けた。3月上旬に沖縄遠征を行い、ピークを本番に合わす。「1度きりの人生、大阪桐蔭や明徳義塾(高知)とやってみたい。最速145キロは出ると思う」。東北21世紀枠の“紫伝説”を継承する。【高橋洋平】