由利工エース佐藤亜蓮(あれん、3年)が、全国レベルを証明した。第90回記念選抜高校野球大会(23日開幕、甲子園)に21世紀枠で初出場する由利工(秋田)が18日、兵庫県内で報徳学園(兵庫)、早実(東京)と練習試合。昨春センバツ4強の報徳学園に、2失点完投勝利。今春から挑戦しているカットボールの新球種も披露し、第2日の日大三(東京)戦へ向けて大きな手応えを得た。

 佐藤亜にとって、甲子園本番への予行演習だった。報徳学園戦に志願登板。「U18日本代表に選ばれる人はどんなものなのかと…」。打率5割で昨春のセンバツ4強に導き、ドラフト上位候補の小園海斗遊撃手(3年)と真っ向勝負。2-0の5回2死走者なし。「強い打者にかわして投げることは経験がなくて、怖くてできなかった。あまりにもすごい打球でビックリした」。フルカウントから内角低め直球を右翼場外に運ばれた。野球人生2本目の被本塁打に「変化球も使った組み立てが出来なかったことがダメ。良い収穫が出来た」。貴重な経験が、どこかうれしそうだった。

 今年初の完投。144球を投げ、被安打6、1四球で5-2の勝利(自責1)。報徳学園の小園は「思った以上にキレが良くて、コースの使い方や縦と横の変化もうまかった」と称賛し、敵将の大角健二監督も「21世紀枠のチームとは思えない」と絶賛した。本人は「再び小園くんに打たれて、2点目を取られたことがダメ」と反省したが、全国優勝経験の強豪に実力を認めさせた。

 最後の打者を投ゴロに打ち取ったカットボールは進化の1つ。「ストレートでは全国レベルの相手は合わせてくる。速くて小さい変化がほしかった。良くなってきたと思う」と自信も深めた。約1カ月前から金子千尋(オリックス)やマリアノ・リベラ(元ヤンキース)の映像をユーチューブで見ながら、握り方なども独学で習得。新球も日大三封じの一助となりそうだ。

 今日19日の甲子園練習で、初の聖地マウンドに立つ予定だ。沖縄合宿中には最速を1キロ更新する143キロも計測。制球重視の新フォームも全国仕様になりつつある。「小園くんみたいな打者を抑えられれば、もっと野球が楽しくなる」。全国の強打者との対戦を心待ちにできるほど、準備は整った。【鎌田直秀】