花巻東(岩手)は“野球偏差値”の高さで、京大志望の彦根東(滋賀)エース左腕増居を攻略する。第90回記念選抜高校野球大会3回戦(明日31日)を控えた29日、兵庫県内で練習。1番を務める菅野豪琉(たける)外野手(3年)は「勉強では負けるけれど、戦略の多さでは負けていない。相手の対策に対して、対応できることが自分たちの長所。自分が何でも良いから出塁すれば、つながりができる」と闘志を燃やした。

 東邦との2回戦では菅野が初回に死球で出塁し、犠打や敵失を絡めて無安打で先制。小技や進塁打などを駆使した“賢い”野球は花巻東の伝統だ。メンバーで唯一、有名国公立大学を目指す特別進学クラス在籍の菅野。「自分は(国立の)岩手大以上を志望です」。1年冬には部員全員でニュース、漢字、英語の検定を受けたが、1人だけすべて合格。野球でも、点数をとる引き出しは多い。

 140キロ超の速球対策として、マウンドの数メートル前から左投げの打撃投手の球を打った。佐々木洋監督(42)は相手の直球のキレを評価し「逆方向を狙うとファウルになってしまうと思う。外角の球に踏み込んでセンターに引っ張るイメージ」と練習から徹底させた。

 初戦は先発5人が左打者だったが、昨秋に5番も打った小松平樹内野手(3年)の起用も含め、組み替えも検討。キーマンに4番紺野留斗外野手(3年)を挙げ、勝利の解答が頭に浮かびつつある。【鎌田直秀】