日本文理が5季連続で県の頂点に立った。14年夏以来の決勝戦に臨んだ関根学園を6-2で退けた。これで16年秋以来の県内公式戦連勝を30に伸ばした。今大会初先発となった新谷晴(はると)投手(3年)が5回まで走者を許さない“完全ペース”の好投。7回を1安打1失点に抑えた。準決勝では打者専念で3安打3打点。決勝は先発投手の役割を果たした。決勝進出2校は6月2日開幕の北信越大会(石川)に出場する。

 新谷はマウンド上でブツブツつぶやき続けた。「集中、集中」「ここは打たせて取る」-。自分で発した言葉をボールに込めて、5回までは関根学園の打者を3人ずつで仕留めた。6回は先頭の桜井智裕一塁手(2年)に三塁線へのゴロを安打(記録は左前打)にされて“完全”は途絶えたが、集中は途切れない。この回に1点を許しても「点差があるから1点もOK」と立ち上がりから気合十分の投球に影響はなかった。

 7回を投げて1安打、1失点。打たせて取る投球に徹しながら、6三振を奪う好投だった。この日最速は138キロ。スライダー、カーブ、スプリットを織り交ぜ、関根学園打線に的を絞らせなかった。「今大会初先発。やる気しかなかった。気持ちが高ぶった」と新谷。準々決勝まで4試合でリリーフ登板し、計8イニングを投げていたが、決勝の先発を任され燃えた。準決勝はエース鈴木裕太投手(3年)が初完投の活躍。鈴木崇監督(37)は「いつ投げるのか、いつ投げるのかと、新谷に思わせながら、ここまで温めてきた」と左腕の爆発を周到に準備していたことを明かした。

 日本文理は16年秋から、5季連続優勝で県内の公式戦30連勝。鈴木監督は「先輩たちが築いてきたものを、お前たちが途絶えさせるわけにはいかない」と選手にハッパをかけていた。その記念すべき節目の30連勝の連続記録に背番号9の左腕は貢献。準決勝は打者専念で3安打3打点で打のヒーローに、決勝はマウンドで主役になった。「自分と(鈴木)裕太が軸になってチーム力を上げていきたい」。北信越大会へ、100回大会の夏へ、新谷は“二刀流”で道を切り開く。【涌井幹雄】