全国高校野球静岡大会は7月7日に開幕する。

 昨秋、県4位と躍進した静岡市立の「秘密兵器」は、イケメン投手だ。身長187センチの遠藤郁真投手(3年)。公式戦登板の経験はないが、長身から角度のある直球を投げ込む本格派右腕で、打撃でも逆方向への長打が持ち味だ。チームの目標は、17年ぶり2度目の夏の甲子園出場。遠藤は、スケールの大きなプレーで貢献する決意だ。

 長身で整った顔立ち。静岡市立の遠藤が、負けん気を口にした。

 「目標は甲子園。2年の2人に勝ってエースになりたいと思っています。打つ方でも貢献したいです」

 昨秋は、渡辺幹樹(2年)と森田健介(2年)の2本柱が、県4位の原動力になった。遠藤は「『下級生なのにすごい』と見ているだけだった」と当時を振り返る。球威はあるが、制球難に苦しみ、3番手投手に甘んじてきた。

 昨春から指揮を執る安井信太郎監督(54)とともにフォームを試行錯誤し、最終的には、サイズを生かせる大きなフォームに行き着いた。直球は最速130キロ台前半だが、数字以上の迫力を感じさせる。

 今春は、打撃でも存在感を放った。昨冬から左打ちに転向し、練習試合では逆方向に快音を連発した。「打撃の方が好きなくらい。細かく考えず、思い切り振っていきたいです」。指揮官も「打撃は素晴らしいし、短いイニングは抑えられるようになってきました」と投打で遠藤の成長を喜んでいる。

 さらに、安井監督はイケメンぶりも遠藤本人の将来に生かせると考えている。「いい男ですし、『石原プロに入って俳優になれ』と言っています」。石原プロモーション所属の俳優徳重聡(39)は、同校OBで身長も同じ187センチ。男らしい顔立ちも共通しているが、遠藤は「あまり表に出るのは得意ではないので…」と苦笑いした。それでも今夏、球場でスポットライトを浴びるつもりだ。【鈴木正章】