昨夏、昨秋、今春と東海大相模に敗れリベンジに燃える北神奈川地区の向上。部員127名を率いて立ち向かう砂川俊輔主将(3年)は「東海大相模を破って甲子園初出場で初優勝したい」と意気込む。

 狭いグラウンドのため、127名が効率よく練習を行わなければならない。コーチも数名いるが、全員を見ている余裕はない。そこで打撃・守備・環境美化・用具管理などのグループに分け、それぞれにリーダーを指名。全員をいずれかのグループに所属させ、練習で気付いたことをリーダーに報告。リーダーは主将・副主将ら幹部と毎週ミーティングを行い、各選手の状況を把握し、監督・部長・コーチと話し合う。まさに会社組織のように活動することで効率的な「経営」を行っている。会社と同じで、リーダーの交代もあればメンバー同士の「人事異動」もあるという。

 新チームになって打撃強化グループのリーダーを任された与倉良介外野手(3年)は「自分も含め打てないとチームに迷惑がかかる。フォームを気にしてばかりだったので、自分の打席に集中させ、思いっきりスイングすることを徹底させた」と部下の意識を改革。すると昨秋までは月に数本だった本塁打が、今春はなんと10本以上も出るようになったという。打率も4割近い打者が増えた。冬場の地道な努力が実を結び見事「業績アップ」となった。与倉は「相模に打ち勝ってコールドで勝ちたい!」と力強く語る。

 坂本野球部長は「127人の絆を深めることを意識しています」と言う。2月には、選手をディズニーランドに連れて行き、人を喜ばせる接客や、ゴミの落ちていない「職場」を体験。年末に箱根の山を走ったり、新チーム結成時には皆でバーベキューをしたりと「出張」もしながら部員同士の交流も深めている。

 10年には学校創立100周年を迎えた向上。14年夏には準優勝。各グループが「業績アップ」を達成し、神奈川県1位の「会社」を作り上げる事ができれば、創部53年目、初の甲子園を手に入れることができるに違いない。【松熊洋介】