第100回全国高校野球選手権記念山形大会(7月12日開幕、荘内銀行・日新製薬スタジアムやまがたほか)の組み合わせ抽選会が28日、山形市内で行われ東北6県の組み合わせがすべて出そろった。下級生への集団暴行が発覚し、春の地区大会を辞退した酒田南は7月16日の初戦2回戦で山形東と鶴岡高専の勝者と対戦する。最速142キロのエース左腕・阿部雄大(3年)と2年生4番伊藤海斗外野手の投打2枚看板を擁し、6年ぶりの夏の甲子園出場を狙う。

 「夏に強い酒南」の金看板を、第100回の今年こそ取り戻す。エース阿部と4番伊藤は、初戦の相手が山形東と鶴岡高専の勝者と決まり、静かに闘志を燃やした。阿部が「最後の夏。試合で勝てるように」と言えば、4番伊藤も「緊張よりもワクワク感の方が強い」と意気込んだ。

 地区大会を辞退した4月中旬以降は全体練習を行わず、ひたすら自主練習に取り組んだ。182センチの長身左腕・阿部は「春、試合に出られない悔しさは練習でぶつけた」と、冬から行っていた筋トレを今春も継続し、昨秋から6キロ増の84キロまで増量。伊藤も春までに2センチ伸びて187センチとなり、体重も3キロ増の88キロまで成長した。「1年の時よりも、確実にパワーアップしている」と確信を持ちながら、自分を追い込んだ。

 5月12日から対外試合禁止処分が解け、練習試合を再開した。阿部は自己最速を4キロ上回る142キロをたたき出し、伊藤も2打席連発弾を放つなど大暴れ。圧巻は、7-0で完勝した23日の常総学院(茨城)との練習試合だった。先発阿部は7回6安打11奪三振無失点に抑え「調子が良くない中でも、しっかり投げられたのは成長した証拠」と胸を張った。伊藤も右翼線と左翼線に二塁打を2本放ち「強い相手とやれたのは収穫。広角に打てたのは良かった」と夏本番に向けて着々とペースを上げている。

 昨秋は県準決勝で日大山形を破って優勝しながら、東北大会準々決勝でリベンジされ、センバツ出場を逃した。最後の夏にかける阿部は「もう負けられない。謙虚な姿勢で勝ちにこだわってやりたい」と目を光らせた。食らい付いたら離さないという意味で、蛇の「アナコンダ」の異名を持つ伊藤も「甲子園に出て、校歌を歌いたい」と宣言。胸に秘めた悔しさをすべて、この夏にぶつける。【高橋洋平】