明桜(秋田)のエース山口航輝(3年)が、夏への復活に、また1歩近づいた。6月30日、宮城・仙台育英グラウンドで行われた同校との練習試合に8回から登板。1回無失点に封じ「一番良かった昨夏に比べ、まだまだ半分も出ていない。でも育英をゼロに抑えきれたのは自信になった」と笑顔を見せた。

 昨夏の県決勝で右肩を亜脱臼した右腕は、5-1とリードしたマウンドに立った。最速146キロには遠く及ばないが、先頭打者を一直に封じた。だが、雷により約15分間の中断。再開後、2死から左翼線に安打を許すと、連続四球で満塁の危機。「球速は130キロいかないくらいかと…。今の実力を受け止めて、やるしかない。気持ちの面が大事だと思う」。緩急を重視した縦のカーブで見逃し三振を奪って、小さなガッツポーズで締めた。雷でコールドとなり予定していた2回は投げられなかったが、気迫の23球を披露した。

 5月下旬から数イニング限定で登板してきた。計約20回を投げて無失点。治療とトレーニングのため、週3回の通院を重ねながら段階を踏んできた。輿石重弘監督(55)からも「小西(輝=3年)もめどが立ったし、夏は曽谷(龍平=3年)と3投手でいける。山口は投打の中心ですから」と高評価を受けた。

 13日の初戦2回戦で、秋田西と平成の勝者と対戦する。「高校野球が人生の最後ではないので、焦らず治したい。プロで二刀流として活躍することが自分の目標。全国制覇に向けても、秋田県連覇は通過点です」。現状の“全力投打”で頂点を導く。【鎌田直秀】