5地区で代表決定戦が行われ、十勝地区では帯広大谷が10-0で広尾に大勝。2番青砥悠賀(3年)が2打席連続の長打で打線に火をつけ、2年連続の北大会出場につなげた。

 雨にぬれながらダイヤモンドを駆け回った。帯広大谷の青砥が2打席連続長打で打線をけん引した。2回1死、右越えに三塁打。4回の先頭では変化球を左翼線に運ぶ二塁打を放ち、この回5得点の口火を切った。「長打はたまたまだけど、うれしいです」。50メートル5秒8の快足であっという間に塁に到達した背番号8は謙遜しながらも、地区突破に貢献したことを喜んだ。

 持ち前の身体能力に網野元監督(46)は「とにかく速い。なかなか併殺にならないんです」と驚く。同校OBの兄史剛さん(23)は同じ外野手、リードオフマンとして13年夏に甲子園初出場した。負けず嫌いな性格は同じで「野球に関してはあまり何も言ってくれないんです」と苦笑い。だが最後の夏ばかりは「何も考えるな」と助言を受けた。無心で打席に入ったことで結果を残した。

 追って追われて脚力を鍛えてきた。小学時代は父裕幸さん(50)が監督を務める少年団に入団。父は「飽きないように」とさまざまなメニューを考案した。その1つが2人1組の走塁練習で1人は正座、1人は立って同時にスタート。絶妙な時差で一塁に向かった。競い合い走ったことが現在につながっている。

 持ち味を生かすため高校入学後は左打ちに挑戦。冬場は朝練習で最低500スイングと地道な努力を重ねてきた。それができたのも中学1年だった13年夏、兄の応援で聖地を体感し、刺激を受けたからだ。昨春は全道4強に進み、経験豊富な3年生がそろっている。「次につながる試合だったと思う。北大会では自分の役割をしっかり果たしたい」。思い出の夏から5年。今度は自分が甲子園に連れて行く。【西塚祐司】