前ロッテのサブロー氏(42)が、高校野球100回大会の日刊スポーツ「編成部長」に就任した。名門PL学園(大阪)からドラフト1位でロッテに入団し、「つなぎの4番」として活躍。現役時代に中学硬式野球チーム「千葉幕張ボーイズ」を設立するなど多くのアマチュア選手の育成に携わり、引退後はどういう選手がプロで成長するか研究を続けてきた。「将来、プロで活躍する選手を探す」という視点で、全国の球児をチェックする。

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 大阪桐蔭-東海大相模の練習試合を視察するため、7月1日に大阪に行った。夏の大会へ向けて各チームが仕上げに入る時期。「センバツ優勝校VS4強」という東西のライバル校の試合は、全国の高校球児の中でもトップレベルの技術を持った選手の集まりだろう。

 その中で大阪桐蔭の根尾と藤原は別格だった。根尾は「5番DH」で出場して1安打3四球。「4番中堅」の藤原は1安打2盗塁だった。2人に共通していることは、試合の中でフルスイングできる「振る力」があること。これはプロの選手でもなかなか難しい。

 投手と遊撃手の“二刀流”の根尾は、総合力では全国NO・1だが、打撃は藤原の方が上だと思っていた。だが、現時点では打撃でも、根尾の方がプロに入ってすぐに活躍する力を感じた。実は、少し悪いところを探そうと思って球場に来たのだが、見つからなかった。打席での間の取り方、スイングスピード、体の使い方、すべていい。いつも同じリズムで柔らかく、ゆっくり長くタイミングが取れる。

 打撃の究極は「スローモーション」に見えることだと思っている。本当は速いのだが、タイミングの取り方やバットの軌道でゆっくりに見える。ヤクルト青木もそう。2000安打を打った一流選手に共通するもので、投手にとっては崩しにくい「間」になる。根尾にはその「間」があり、藤原はまだ自分のリズムで打てていない打席があった。投手としても高い身体能力がある根尾だが、プロでは野手の方がいい。ソフトバンク今宮のようなタイプになりそうだ。

 投手では、大阪桐蔭の柿木投手が13三振で完投した。だが、将来楽しみなのは6回途中5失点だった東海大相模の斎藤投手。フォームのバランスが良く、スピード、コントロール、変化球すべて平均点だが、逆にそれがいい。広島野村の高校時代のようで、体の成長にともない3~4年後に大きく伸びる可能性を感じる。

 ◆サブロー(大村三郎=おおむら・さぶろう)1976年(昭51)6月1日、岡山市生まれ。PL学園から94年ドラフト1位でロッテ入団。11年途中に巨人へトレード移籍も、同年オフにFA宣言してロッテ復帰。16年に現役引退後、ロッテのスペシャルアシスタントを務める。通算1782試合、1363安打、127本塁打、打率2割6分5厘。ゴールデングラブ賞2度。181センチ、90キロ。右投げ右打ち。