<高校野球佐賀大会:有田工5-3佐賀北>◇11日◇1回戦◇佐賀県立森林公園野球場

 「がばい対決」は実現しなかった。佐賀北の久保貴大監督(29)は現実を必死に受け止めていた。3-5で有田工に敗戦。07年夏「がばい旋風」と呼ばれ、ミラクル快進撃で甲子園優勝投手となったあの歓喜の夏から11年。監督となって迎えた最初の夏は、佐賀大会初戦で終わりを告げた。

 久保監督 夏は1年間の練習の成果がでる大会。それは指導も同じこと。選手が泣いている姿を見ると申し訳ないと思う。

 そう言うと、胸にこみ上げるものをのみこんだ。同点で迎えた7回に4失点。それでも「最後まで同点に追いつけると信じていた」と、指導した選手を信じたが、思いは通じなかった。4回途中から登板したエース小野佑月投手(3年)は不満の残る結果にも「最高の指導者に教えてもらって幸せものでした」と涙ながら久保監督に感謝した。

 くしくもこの日、優勝当時のマネジャーだった真崎貴史監督(29)率いる杵島商も敗れた。「がばい監督」がともに夏初陣で敗退。「最後に(佐賀)北校らしさは出してくれた。2年生がこの悔しさを来年晴らしてもらいたい」。久保監督は自分に言い聞かせるようにそう締めくくった。【浦田由紀夫】