<高校野球西東京大会:日大二11-0府中東>◇12日◇2回戦◇府中市民球場

 日大二(西東京)の背番号15が、3人を8球で料理して試合が終わった。3番手の渡辺勇磨投手(3年)が5回1イニングをピシャリ。府中東をコールドで破った。「いつも通りに投げられました。まっすぐとカーブで抑えられました」。夏初登板の左腕が、自らの投球を振り返った。

 昨夏の大会中、同校に突然、背番号15の「神話」がわき上がった。OBで、当時上智大野球部に所属していた佐々木健太さんが骨髄性白血病で急死した。3日後、国士舘戦(5回戦)に背番号15の横田涼外野手が初スタメンで出場すると、勝ち越し本塁打を含めて5打数3安打2打点。さらに準々決勝で6打数4安打、準決勝で5打数2安打。何かが乗り移ったかのような大暴れだった。

 佐々木さんの3年夏の背番号が15、最後の出場が国士舘戦だった。横田のつけた背番号は霊前に供えられた。大手商社に就職も内定した矢先のこと。スマートフォンには「日大二野球部の3年間は自己形成の礎」などのメモが残されていたという。部室には今「背番号15からのメッセージ」として貼られている。

 今年のベンチ入り20人が発表されたのは、先月24日だった。渡辺は「ひとけたがよかったけど、15番はうれしかった」と笑う。そして「これからも与えられた出番で、しっかり投げていきたい」と付け加えた。田中吉樹監督(59)も「ウチは15番がポイントになると思います」と話した。神話をさらに神話とするか、日大二の戦いぶりとともに、背番号15からも目が離せない。【米谷輝昭】