12年ぶり10度目の夏の甲子園出場を目指す静岡商が、3-0で浜松北を破り、3回戦進出を決めた。エース右腕の古屋悠翔投手(3年)が、最速141キロの直球を軸に2安打無四球8奪三振。8日の1回戦(富士宮東)で記録した無安打無得点に続く2試合連続完封で、チームをさらに勢いづけた。

 気温31・7度。1回戦から続くノーヒッターは、12イニング目の3回に途切れたが、古屋の集中力は研ぎ澄まされていた。制球重視の「打たせて取る投球」で乗り切り、最終回はギアをチェンジして140キロ台の速球を連発。危なげなく、2試合連続完封を決めた。

 「1本(安打を)打たれて、逆に楽になりました。今日は自分だけの完封じゃなく、みんなで取った完封。うれしかったです」

 古屋の言葉通り、1回2死には、三遊間を破りそうな打球を松浦凛遊撃手(2年)が好捕した。終盤に1失策を記録したが、同校伝統の安定した守備で、古屋の気持ちに余裕をもたらした。

 古屋自身は、6月から暑さ対策を万全にしていた。練習時に厚手のグラウンドコートを着込んでウオーミングアップ。大量の汗をかくことに体を慣らしてきた。「それでもマウンドは暑いですが、9回まで全力で相手を押し込めたのは良かったと思います」。

 投じた104球の中に、100キロのカーブも入れるなど安定感抜群のエースに、高田晋松監督(47)も目を細めて言った。「今日も古屋さまさまです。たくましくなりましたね」。一方で初戦2得点、この日3得点の打線については、「まだ25点くらいです」と奮起を促した。

 次は21日の3回戦で、富士市立と対する。「これで調子に乗らず、初戦のつもりで、一戦一戦に臨んでいきたい。メリハリをつけて調整していきたいです」と古屋。名門静商のエースにふさわしい実力と風格が備わってきた。【鈴木正章】

 ◆古屋悠翔(ふるや・ゆうと)2001年(平13)3月17日、伊豆の国市生まれ。大仁小2年から大仁パワーズで野球を始める。大仁中では三塁手。家族は母と妹。右投げ右打ち。176センチ、83キロ。血液型O。