青藍泰斗・落合孝稀記録員(3年)は悲しみを乗り越えた。高1秋には、父卓さんががんのため43歳の若さで他界した。小1で野球を始めた時、所属した小山クラブは父が監督だった。野球といえば父。それだけに最愛の父の死は衝撃だった。次第に野球を続ける理由が分からなくなり退部も考えた。ふと我に返してくれたのが、生前の父とのLINEだった。

 孝稀頑張れよ! お父さんは応援することしか出来ないけど孝稀の1番近くで応援しているから。練習厳しいとかは自分で乗り越えないとダメだから今は自分との戦いを頑張ってくれ!(原文まま)

 この壁を越えてやる-。遺言を胸にグラウンドに戻った。右肘の故障で手術し、1年のリハビリを味わった。経過が芳しくなく裏方に回る決断もした。常に支えになったのは、父からのメッセージだった。「プレーはできなくなりましたが、記録員として声をかけられたら」。そんなひたむきな姿勢が評価され、最後の夏は主将を任された。元中日の落合英二氏を伯父に持つまじめな青年。チームの8強進出に「今日はしっかり振れていました」と喜んだ。【山川智之】