<高校野球東兵庫大会:長田8-1神戸学院大付>◇18日◇3回戦◇ウインク球場

 野球を通じて人として成長する-。言葉で言うのは簡単だが、実践するのは難しい。それでも、神戸学院大付・本木淳也主将(3年)は、「この1年で人間的に成長できた」と言い切った。

 昨年の夏の大会後に監督が交代。香川西を春夏通算5度甲子園に導いた岩上昌由監督(42)の就任に、「自分たちが思っていた高校野球と違う」と戸惑った。2年前に軟式野球から硬式野球に移行。現3年生はその事実を知っていたが、野球だけをするために神戸学院大付を選んだわけではない。部活動に対する意識が違った。そんな中、本木は主将に指名された。「主将が変わればチームは変わる」。監督の言葉に覚悟を決めた。

 「当たり前ですけど、自分が一番行動しようと。掃除とかも含めて全部」

 主将の姿に導かれるように、自主練習に励む選手が増えた。春の練習試合でも強豪と接戦を演じた。岩上監督と臨んだ初めての夏も初戦突破。この日は長田の147キロ右腕・橋本から1点をもぎ取った。8回コールド負けでも、「勝ち進んで恩返しがしたかったけど、今日は粘りを見せられた」と胸を張った。

 試合後は涙を流しながらも、保護者に感謝の言葉を伝えた。その姿を見て岩上監督は「あいつが一番変わったよ。高校生の1年の成長ってすごい」。高校野球から、勝利以上に大切なものを学んだ。【中野椋】