南北海道は準決勝2試合が行われ、北照が春季全道大会準優勝の札幌日大を6-2で下し、前回優勝の13年以来5年ぶりに決勝に進出した。同点の5回2死一塁で、3番掛谷(かけたに)和紀(3年)が勝ち越しの右翼線適時二塁打を放ち、勝利を呼び込んだ。

 春夏連続甲子園を狙う駒大苫小牧は4-3で北海道栄に競り勝ち、07年以来11年ぶりの優勝に王手をかけた。今日22日、札幌円山で決勝を行う。

 やっと雄姿をみせられた。5回2死一塁、北照・掛谷は札幌日大エース木山の初球スライダーに食らいついた。「ずっとヒットが出なくて悔しかった。何としてもチームの役に立ちたかった」。一塁側スタンドには女手一つで育ててくれた母ゆかりさん(41)が見守っていた。打球は、その目の前を鋭く抜け、右翼線に転がった。大阪から駆けつけ、南大会初戦から観戦していた母は、3戦11打席目での息子の初安打に「ほっとしました」と目を細めた。

 中学1年の冬、最初に野球を教えてくれた祖父の修さんが、64歳の若さで急死した。「それから元気がなくなって。中学3年で、野球をやりに北海道の高校に行くという話を聞いて、遠いところだし、不安で仕方なかった」とゆかりさん。親元を離れ2年4カ月。たくましくなった姿に「1人で頑張ってきたことが分かりました」と喜んだ。

 祖父との約束まで、あと1勝に迫った。掛谷は「怖く厳しかったおじいちゃんがいたから、ここまで来られた。絶対に甲子園でプレーする姿を天国に届けたい」と前を向いた。優しく支えてくれる母、聖地への道を開いてくれた祖父への感謝の思いを、次の一戦にぶつける。【永野高輔】