宮城は古川工が第1シード東北を2-0で下し、3年ぶりの準々決勝に進出した。エース右腕の小松龍生(3年)が8安打を浴びたが要所を抑え、東北大会準Vの強力打線を完封した。打線も3安打ながら2本のスクイズを決める試合巧者ぶり。ノーシードから7年ぶり2度目の甲子園へ弾みをつけた。山形では、第1シード羽黒と第6シード鶴岡東が勝ち上がり、今日25日に決勝を戦う。

 最後の打者を空振り三振に仕留めると、小松はガッツポーズしながら鎌田大作捕手(3年)と抱き合って喜びを爆発させた。「イメージ通りだった」というショートバウンドさせたスライダーが、ウイニングショットとなった。「東北打線を抑えるには緩急が必要不可欠。真っすぐを張られたら打ち込まれてしまうので、うまくカーブを使って打ち取ることができた」。昨秋に習得した緩いカーブを織り交ぜ、強力打線に的を絞らさせなかった。

 7回以降は、ギアを1段高くシフトさせた。ストライクが入るたびに雄たけびを上げ、自身を鼓舞。「後半に弱かったので、1球1球死ぬ気で投げることを心掛けた。体力より気迫。バックを信じて腕を振って投げることができた」。昨秋の地区大会で8回に登板し、4ー0から5失点を喫した苦い思いを最後の夏に払拭(ふっしょく)した。

 「弱勝野球」をモットーに掲げ、間橋康生監督(47)からたたき込まれた「下手でもいいから気持ちで負けるな」というイズムを全員が共有した。1-0で迎えた6回表1死三塁。4番佐々木大成内野手(3年)が185センチ、95キロの巨体をなげうってスクイズを決め、貴重な追加点を奪った。伝令では「思い切っていけ」と伝えられたが、前打席で3球三振の屈辱を小技で晴らした。「小松から追加点が欲しいといわれていたので、決められてよかった」と笑顔で振り返った。小松は「強豪校に勝てないと甲子園に行けない。挑む気持ちを発揮できたことはよかった」。甲子園まであと3勝。弱勝魂で突き進む。【下田雄一】