藤蔭(大分)ナインが、グラウンドで喜びを爆発させた。柳ケ浦相手に1-0の僅差で逃げ切り、28年ぶり2度目の夏甲子園。28年前は主将として甲子園に出場した原秀登監督(45)は感慨深げだった。選手宣誓もした思い出の場所に監督として戻る。「選手が粘り強くなった。監督としてはどんな感じになるか、楽しみです」と気持ちを高ぶらせた。

 エース市川晃大投手(3年)が、6回に挙げた1点を守り切った。8安打されながら今夏初完封。「これまでは打線に助けられてきたので最後は貢献したかった」。約1年前、新チーム発足直後に外野手から投手転向を言われた。「やりたかったから、うれしかった」。100メートルの坂道ダッシュ、ポール間のインターバル走など、苦しい練習も乗り越えた。

 足がつって途中降板した準決勝後、原監督に誘われて初めて一緒に湯船につかった。「キレで勝負しろと言われた。うれしかった」。この日の決勝も7回途中から再び足がつったが「監督から心中だと言われたので、任されたと思った」とアドバイスを思い出した。「監督さんが出て以来、甲子園に行ってないのはやばいやろってみんなで言っていたんで」。背番号1が最高のプレゼントを贈った。【浦田由紀夫】

 ◆藤蔭 1950年(昭25)日田高等経理学校として創立の私立校。日田商業高を経て60年に現校名に。生徒数380人(女子156人)。野球部は81年創部で部員84人。甲子園出場は春1度、夏は2度目。主なOBは一岡竜司(広島)森章剛(元中日)。所在地は日田市田島本町5の41。石井潔校長。

◆Vへの足跡◆   

2回戦7―5三重総合

3回戦5―1大分南

準々決勝11―4津久見

準決勝9―7佐伯鶴城

決勝1―0柳ケ浦