第100回全国高校野球選手権記念大会は、第3日の1回戦4試合が行われる。元球児による「レジェンド始球式」は鹿児島実OB定岡正二氏。エースだった定岡氏は、1974年(第56回大会)で、原辰徳氏らを擁する東海大相模を延長15回の末に破って鹿児島県勢初の4強入りに貢献した。

<見どころ>

▽1回戦

【第1試合(8:00) 佐賀商(佐賀)-高岡商(富山)】

 佐賀商が、1994年(第76回大会)に県勢初の全国制覇を果たしてから24年になるが、選手権の出場は2008年以来10年ぶりと久々だ。勝てば1997年(第79回)光星学院に10-9で勝利して以来、21年ぶりの夏1勝となる。

 佐賀大会では6試合で12失点(1試合平均2失点)と、エース木村を中心に投手陣が1試合3点以下にしのいで少ないチャンスをものにしてきた。145キロの直球と変化球のコンビネーションを武器にする木村は、6試合48イニングを投げ、被安打25、11失点と安定感は抜群、3回戦から決勝までの4試合連続完投でスタミナ面も問題ない。

 チーム打率3割1分1厘は決して高い数字ではないが、レギュラークラス5人が3割超え、特に主軸を打つ山崎は打率3割8分1厘、1本塁打、チームトップの9打点と勝負強さが光る。

 駒大苫小牧で2004、2005年の夏に連覇した香田誉士史元監督(西部ガス監督)は同校OBだが、香田氏と現役時代、主軸を組んだ森田剛史監督が名門「佐商」復活の指揮を執る。

 2年連続19度目の出場となる高岡商は、チーム打率4割1厘の打線がウリ。富山大会は1試合平均12・5得点をたたき出し、全5試合すべて2桁得点と圧倒した。打率4割6分7厘の石黒を筆頭にレギュラークラスは4割打者6人、3割打者3人と、打線に穴は見当たらない。

 地方大会は4投手で乗り切ったが、182センチの長身左腕で最速148キロを誇るプロ注目の山田が中心的存在だ。高岡商が、2008年(第90回)大府に1回戦で勝利(5-1)して以来、10年ぶりの夏1勝を目指す。

◆佐賀商のおもなOB 元西武新谷博、日本ハム田中豊樹

◆高岡商のおもなOB DeNA進藤達哉GM補佐、日本ハム紺田敏正コーチ

 

【第2試合(10:30) 智弁和歌山(和歌山)-近江(滋賀)】

 監督通算勝利数(68勝)で歴代1位を誇る智弁和歌山・高嶋仁監督が、2000年(第82回大会)以来、夏3度目の優勝を狙う。強力打線は今年も健在で、和歌山大会5試合で59安打60得点をマークした。準決勝まで4試合連続コールド勝ちし、チーム打率4割1分は圧巻だ。1番神先と5番冨田が同5割超、高校通算49本塁打を誇る3番林、4番文元主将も同4割超とレギュラー7人が4割超えと破壊力は半端ない。平田らを中心に6投手で県大会を勝ち上がった投手陣は5試合で11失点(1試合平均2・2失点)とまずまず。決勝の市和歌山戦では6失点しサヨナラ勝ちで辛勝となったが、今春のセンバツ大会では大阪桐蔭に敗れて準優勝。「打倒桐蔭」に燃える智弁和歌山が、ここで負けるわけにはいかない。

 今春のセンバツ大会でベスト16入りした近江が、節目の夏10勝目を目指す。滋賀大会では5試合で7失点(1試合平均1・4失点)と5投手の層も厚く、安定感がある。3試合に先発した技巧派左腕の林、140キロ台の速球を持つ金城とプロ並みの継投でつなぐ。佐合も成長し4試合13イニングを投げて2失点、21奪三振と特徴の異なる投手陣が相手打線を幻惑する。

 打線も負けてはない。チーム打率は智弁和歌山と同じ4割1分。本塁打は1本もないが、同5割3分3厘の4番北村を筆頭に上位下位とムラのない打線は穴がない。

◆智弁和歌山のおもなOB ヤクルト武内晋一、日本ハム西川遥輝

◆近江のおもなOB 阪神植田海、DeNA京山将弥

 

【第3試合(13:00) 前橋育英(群馬)-近大付(南大阪)】

 高橋光成(現西武)を擁し2013年の夏に全国制覇を飾った前橋育英が3年連続の夏に挑む。北原主将ら昨夏の甲子園を知るメンバーも残っており、経験も豊富で投打にまとまっている。エース恩田は群馬大会全6試合で40イニング12失点、防御率は1・58と安定感も抜群だ。チーム打率も3割9分3厘と高数字を残しており、守りでもマスクをかぶる主砲小池は打率5割4分5厘、3本塁打、8打点と攻守にけん引役を果たす。

 近大付のエース大石は最速141キロの本格派左腕で1年生から背番号1を背負ってきたプロ注目の投手。中学時代から大舞台で活躍し日の丸を背負った経験もある。速球に加え、キレ味鋭いスライダーのコンビネーションで打者を仕留める。南大阪大会では7試合中5試合に登板し43イニングを投げ被安打38、6失点と安定感は抜群。決勝の大商大堺戦では完封勝利を収めた。バックもわずか2失策と強固な守りを誇る。

 チーム打率は3割3分3厘で打率5割2分を誇る花田主将が打線をけん引する。7試合で犠打20、4盗塁の山本、3盗塁の西川ら盗塁13と小技、機動力を駆使した攻撃にはソツがない。

◆前橋育英のおもなOB 西武高橋光成、オリックス神戸文也

◆近大付のおもなOB 競泳入江陵介(ロンドン五輪200メートル背泳ぎ銀メダリスト)、巨人金城龍彦コーチ

 

【第4試合(15:30) 益田東(島根)-常葉大菊川(静岡)】

 18年ぶり4度目の出場となった益田東が、節目の県勢夏30勝を狙う。島根大会全5試合で先発したエース和田は39回3分の2を投げ9失点、決勝戦の石見智翠館を完封し勢いに乗る。打線は1年から4番を打つ稲林の出来が鍵。県大会では打率2割7分8厘と本来の実力を発揮できなかったが、決勝戦では先制アーチを放つなど状態も徐々に上向いている。チーム打率は3割4分6厘で、一塁手の安田が同5割2分6厘、2本塁打、11打点と大暴れした。甲子園でもバットに期待がかかる。

 2年ぶり6度目出場の常葉大菊川が、2013年(第95回大会)以来、5年ぶりの夏白星を目指す。2007年のセンバツ大会で全国制覇、2008年には夏の甲子園で準優勝した実力校。強力な打線は健在で、静岡大会は6試合で55得点(1試合当たり9・2点)をたたき出した。チーム打率は3割7分1厘で、リードオフマン奈良間は圧巻の同8割1分8厘だ。足技も武器で奈良間の9盗塁を筆頭に根来も7盗塁をマークするなどチーム計26盗塁、足を絡めた攻撃も相手には驚異となる。

 投手陣は漢人、榛村の2枚看板で、漢人は4試合で28イニングを投げ10失点、榛村は2試合13イニング投げ無失点と安定感もある。

 また、静岡勢は2014年から昨夏まで4年連続で初戦敗退しており、常葉大菊川が夏の負の連鎖をストップさせる。

◆益田東のおもなOB 元阪神三東洋、元オリックス渡辺伸彦

◆常葉大菊川のおもなOB DeNA田中健二朗、広島桑原樹