日大三(西東京)が、「あきらめない」気持ちで逆転勝ちした。2点を追う8回、同点に追いつき、なおも2死三塁から、日置が決勝打。前の打席で空を切ったスライダーに「食らいつく気持ち」で反応し、一塁手のグラブをはじき、右翼までボールが転がった。

 打席に入る前、小倉全由監督(61)から助言が送られた。「どっしり、重心を低く構えろ」。昨冬、スポーツメーカーが実施する体力測定のスクワットで全国1位の260キロをマーク。「自信がある」強靱(きょうじん)な下半身で軸回転し、強烈なライナー性の打球をはじき返した。

 7回2死までノーヒットノーランの危機だった。それでも、選手全員が逆転を信じ続けた。東・西東京大会の開会式。日置主将が選手宣誓を務め、「あきらめない」を3度連呼した。西東京大会では4試合が逆転。この日も8回に3者連続「初球打ち」の3連打で同点とし、試合を一気に決めた。

 日置を成長させたのも、「あきらめない」心だった。上田南リトルに所属した小6の時、「怪物」に出会った。報徳学園の小園。宝塚リトルの1番投手だった小園は、投打でケタ外れだった。「こんな怪物に勝てないと上にはいけないなと」。シニア、高校でも小園を意識し、成長した。

 チームは、優勝した11年以来の4強入りを決めた。小倉監督は「あきらめないで、つないでくれた。よく負けないなと。感心しています」と称賛した。準決勝の相手は、エース吉田擁する金足農。日置は「何が何でも勝ちたいです」と闘志を込めた。【久保賢吾】