<全国高校野球選手権:大阪桐蔭11-2浦和学院>◇18日◇準々決勝

 四球から試合は大きく動いた。6回、大阪桐蔭(北大阪)の二塁手、山田健太(3年)が選んだ先頭打者の出塁だ。「打てばベストですが、四球でもなんでもよかった。浦和学院の先発(渡辺)はキレや、制球がアバウトになってました」。山田が振り返った。

 犠打のあとに登板した2番手永島の制球が定まらない。死球、四球と続き、3連打する。この時点で5点が入った。「こんな大差になるとは思わなかった。勝てばOKなんで」。山田が満足げな表情を浮かべた。

 両校の対決は過去1度だけ。6年前のセンバツ準々決勝だった。大阪桐蔭は1点差を追う9回表、先頭の森友哉(現西武)が右前打しながら、二塁を欲張って刺される。直後に小池裕也が四球を選ぶと、二塁打、中前打が出て逆転した。初対決でも四球を起点に、逆転につなげた。この年、春夏連覇を達成している。

 2度目を予感させる難敵撃破だ。「ここまで来たら(春夏連覇を)取りたいですが、1戦1戦です」。陰のヒーローに、気の緩みは見られない。【米谷輝昭】