札幌東が札幌開成中教校に6-0と快勝。左腕早川智貴(2年)が14奪三振で公式戦初完封し、定年のため今秋で退任する工藤高司監督(60)に、1勝をプレゼントした。

札幌東が、背番号10の左腕早川の好投で初戦を突破した。3回を除き毎回の14奪三振。最速は130キロ前後だが、ストライクゾーンの四隅を丁寧に投げ分ける頭脳的な配球で、相手打線を翻弄(ほんろう)した。公式戦初先発で結果を残し「8回ぐらいで疲れが出たけど、捕手の佐藤(真郷=2年)からしっかり体を使って投げろと言われ、気が引き締まった」と振り返った。

江別大麻東中2年の秋に腰を痛め、復帰した中学3年春に今度は右膝を負傷して手術した。中学3年間で登板したのは2年夏だけ。高校進学後も1カ月で再び古傷の右膝に痛みが出て、投球できなかった。ケガを繰り返したことで、腰や膝など体の使い方を見直し、左右は違うが米大リーグ・ドジャースの前田健太(30)の動画などを参考にした。「いろんな選手の動きを見て、下半身の動きを修正して、制球力も上がった」と成長の理由を口にした。

3回の攻撃では、2死一、三塁で、投手のけん制の間に三塁から本塁に突入し先制の生還。今秋が最後の指揮となる工藤監督は「早川がよく投げてくれた。得点の場面も、いい判断をしてくれた」と喜んだ。86年に稚内商工を初の北北海道大会に導いた同監督が就任して6年目。早川は「みんなで何としても監督を全道に連れて行く」と、恩返しを誓った。【永野高輔】