盛岡大付が、大船渡の最速157キロ右腕・佐々木朗希(2年)に10安打を浴びせて7-5で破り、2年ぶりの東北大会出場を決めた。対戦が決まってからは、12年夏に花巻東・大谷翔平(現エンゼルス)攻略に一役買った最速158キロの打撃マシン「オータニ君」に加え、昨春のセンバツ出場用に購入した同172キロのマシンには「ローキ君」と名付け、ひたすら打ち込んできた。5番に抜てきした背番号20の平賀佑東外野手(2年)が7回の決勝打を含む3長打と、「朗希対策」が実った。

振って、振って、振りまくってきた。だからこそ、盛岡大付ナインには自信が芽生えていた。佐々木の150キロオーバーの剛球にもひるまず、果敢にバットを強く押し出せた。難攻不落の佐々木相手に4長打を含む10安打を浴びせ、7得点。試合後、関口清治監督(41)は「いい投手でした」と汗をぬぐいながらも「速いボールに必死についていくこと。打席内では、球が速く感じないように対策を練っていました」と胸を張った。

対戦が決まった19日から、大谷撃破以来の剛速球対策を解禁した。最速158キロの打撃マシン「オータニ君」に加え、昨春のセンバツ用に購入した同172キロのマシンを「ローキ君」と名付け、通常より6メートル手前の約12メートルの位置に設置。ひたすら打ち込ませて、剛速球に目を慣れさせた。この日一番の結果を出したのが5番平賀。7回の決勝左翼線二塁打は151キロの外角直球を逆らわずに逆方向へ。3長打2打点と気を吐いた。

平賀 球は速く感じたけど、自信を持って打席に入れた。練習では当てるのが精いっぱい。でも強くバットを振ることを意識していた。体に感覚を無理やり染み込ませて、自分のスイングができるようになった。

「朗希対策」が実を結んだ。だが、ここはあくまで通過点。幾多の名勝負を引き出し、「名プロデューサー」の異名を持つ“盛付劇場”の支配人・関口監督は先を見据えた。「全国で勝つためにやっている。普段の練習の成果が出た」。決勝の相手は、宿敵花巻東。秋の決勝で対戦するのは初となる。勝てば、監督就任以来の対戦成績を9勝9敗の五分に戻せる。「昨秋から3本も優勝旗を持って行かれている。取り返さないと」。佐々木撃破で波に乗ったまま、一気に頂点へ駆け上がる。【高橋洋平】