9年ぶり出場の釧路湖陵が、初出場の札幌英藍を14-12で下し、88年以来30年ぶりの秋全道1勝を挙げた。今大会で選手宣誓した斎藤叡佑主将(2年)が4回無死満塁で勝ち越し左犠飛。7回途中からは遊撃手の更科夕稀(2年)が登板し、2回2/3を無安打無失点で締め、準々決勝進出を決めた。2年連続のセンバツ甲子園出場を狙う駒大苫小牧は、4番竹中研人(2年)の公式戦初本塁打などで、函館大柏稜を6-0で退けた。

平成最後の大会で、昭和最後の大会以来の勝利をつかんだ。2点リードで迎えた9回2死、3番手で登板していた釧路湖陵・更科は最後の打者を三振に打ち取ると、右拳を握りしめ、雄たけびを上げた。「僕らは歴史を変えようとここに来た。9年ぶりの出場で30年ぶりの1勝。1つずつ勝って、今度は甲子園を狙いたい」と前を向いた。

対戦相手、札幌英藍の情報がほとんどない中、試合を通じ、全員で探っていった。1番斎藤は初回の打席で9球粘った。三振に倒れたが「先頭打者として投手の球の軌道を仲間に伝える役割もあった」。2番山家壮太郎(2年)が中前打で出塁すると、この回3本の内野安打を含む5安打で4点を先制した。斎藤以外の6打者が2球目のストライクを打ち返した。配球傾向を見抜き、初出場の相手を序盤でかき乱した。

土台は監督の指導方針にある。北海OBで99年夏に選手、12年夏には旭川工コーチとして甲子園経験がある小田聖人監督(37)の下、自主的に考える野球を徹底。練習では、ほぼ毎日、紅白戦を行う。「ボールがきてから指示は出せない。自分たちで常に考えて動けないと勝てない」と小田監督。実戦形式の中で、疑問の残るプレーには監督が理由を尋ね、選手が自分の言葉でこたえる。ディスカッションを繰り返し、頭を働かせる習慣をつけてきた。

抽選日の9月20日、小田監督は母校に顔を出し、恩師の平川敦監督(47)から「頑張れよ」と激励された。札幌入り後は、高校の後輩、沼山健吾監督(35)がいる北星学園大付のグラウンドで練習してきた。今大会で札幌円山の当番校を務める沼山監督には「円山で待っています」とエールを送られた。まずは麻生で1勝。次は、約束の地で2勝目を挙げ、61年ぶりの4強を狙う。【永野高輔】