釧路湖陵が、稚内大谷を10-0の6回コールドで下し、57年以来61年ぶりの4強進出を決めた。長打7本を含め、出場9人全員で13安打を放ち快勝。初戦から2戦計30安打は4強進出校最多で、北海OBの小田聖人監督(37)の下、1番から9番まで全員が本塁打を狙う打撃練習に徹してきた成果が、実戦で爆発した。今日5日は休養日で、明日6日に準決勝2試合が行われる。創立105年の伝統校が、猛打で春夏通じ初の聖地を目指す。

勢いが止まらない。5-0の5回無死二塁、釧路湖陵・更科夕稀一塁手(2年)は低めの直球を、迷わず振り抜いた。打球は左翼スタンドに飛び込む自身公式戦初の本塁打となった。「大きな円山でスタンドに入るとは。自分でもびっくりです」。この回、4長打を含む6安打で一気に5点を加え、とどめを刺した。

1番の斎藤叡佑主将(2年)から9番関谷拓朗(1年)まで、出場9人全員で13安打10得点と爆発。61年ぶりの4強に小田聖人監督(37)は「出来すぎ…と言ったら選手に失礼ですね。みんなが一生懸命やってきた結果です」と喜んだ。

着実に進化してきた。同監督が就任した15年春、部訓を「歴史を変える」と定めた。米メジャー選手のスイングなどを参考に、ボールを下から跳ね返し、本塁打を打つことに特化した打撃練習を徹底させた。同年春、いきなり春全道大会に出場すると、16年夏の北大会では道大会1勝(9-8白樺学園)を果たした。

さらに17年春には、前年のKボール(※)全国大会で優勝した釧路選抜の斎藤、更科、堀海人(2年)の3人が入部。この日初回に先制の左翼線適時二塁打を放った堀は「本塁打を打つ練習なんて最初は戸惑った。でも、続けるうちに長打も短打も確率が上がった」と言う。理論を忠実に体現できる戦力が集まり、この秋、大きく花開いた。

主力6人が昨秋からレギュラーで、実戦経験も豊富。新チームになった今夏以降は弱点だった守備の立て直しにも取り組んだ。初戦は緊張から5失策も、この日は1。1勝を挙げ硬さがほぐれ、夏の成果も表れてきた。道大会最高成績は85、87年夏の北大会準優勝。小田監督は「泥臭く1点でも多く取る。それだけです」。秋初の決勝進出をかけ、一昨年王者・札幌第一に真っ向勝負を挑む。【永野高輔】

※Kボール…素材は軟式と同じゴム製で、重量や大きさは硬式と同じ。素材がゴムのため安全性が高く、身体への負担も軽いとされる。高校での硬式野球に移行する前段階の入門用に開発された。