夏の甲子園に12年連続で出場した聖光学院(福島)の絶対的エース、衛藤慎也投手(3年)が関学大(関西学生)に合格したことが5日、分かった。兵庫・尼崎市出身で「大学は地元の関西に戻りたかった。家から大学も近いし、子供の頃から知っていた。合格できてうれしい」と喜びを爆発させた。

今夏の甲子園では報徳学園(東兵庫)相手に9回9安打4奪三振3失点で初戦負けしたが、最速を2キロ更新する146キロをマークした。「負けたのは悔しいけど、ベストピッチ。持っている100%の力は出せた」。広島にドラフト1位指名された小園海斗内野手(3年)には3安打を許した。「東北では対戦したことがないレベル。こういう選手がドラ1でプロに行くんだと思った」と回想した。

センバツ前に発症した右肘痛が衛藤を人間的に成長させた。東海大相模(神奈川)との2回戦には登板できず、3月末に手術。必死に取り組んだリハビリ中に、メンバー外の選手からかけられた数々の言葉が、衛藤の胸に刺さった。

衛藤 今はけがが起こったことが必然と思える。ベンチ外メンバーと話していくなかで「自分のけがを自分の中だけで悩んでいる」と言われた。「お前の悩みはチームの悩みや」と言われて、自分が小さいと思った。けがを自分1人で背負い込みすぎていた。周りに全然目がいってなかった。

成長を実感した衛藤は6月の東北大会から見事に復活。先輩から脈々と受け継がれた夏連覇を途切れさせることなく、つないだ。

関学大は自主性を重んじる校風で、14度のリーグ優勝を誇る。「投げ続ければ最速は上がる自信がある。決め球を磨いて、4年後はプロ入りを狙いたい」。2度にわたる疲労骨折の手術で右腕に残っているボルトを勲章に、夢へ突き進む。