キャプテントークが行われた14日。その夜にトークの「第2幕」が開かれていた。初対面ばかりの主将たちの仲をつないだのは、その場にはいない「星稜・奥川」だった。

32校の主将は毎年、大阪市内の同じホテルに泊まる。抽選会場からの帰り道、歩きながら星稜・山瀬は質問攻めにあった。「奥川ってやっぱりすごい?」。奥川の話題で少し距離を縮めた彼らは、コンビニに立ち寄った。横浜・内海のかごにみんながふざけて品物を入れると、内海はおとこ気を見せて1人で会計。一気に打ち解けた。

コンビニの流れで、桐蔭学園・森、龍谷大平安・水谷、智弁和歌山・黒川ら10人ほどが内海の部屋に集まった。動画サイトで互いのプレーを見たりして盛り上がった。内海が昨夏の甲子園でガッツポーズをしながら、打球がフェンス越えしなかった動画で大爆笑。午後10時30分の消灯まで約2時間、野球ネタばかりのボーイズトークだった。

小学校から奥川とバッテリーを組む捕手の山瀬は、質問に真顔で答えた。「あいつのすごいところは自ら苦しい状況を作るところ。監督にも言わずに『今日は直球とフォークだけ』とか決めて、試合に入ったりしている」と説明する。「そんなやつ、いないよな」「うまいやつはそうなんだな」。野球エリートたちから感心する声が飛んだ。

多くが大会NO・1右腕に刺激され、対戦を待ち望む。奥川が履正社打線を抑えるのか。ライバルたちも注目する一戦だ。【高校野球取材班】

◆奥川の公式戦成績 奥川は昨年秋の石川県大会から公式戦9試合に投げ、防御率0・60。自責点は石川県大会準々決勝(対金沢)の9回に記録したのが最後で、公式戦では連続51回1/3自責点ゼロのまま甲子園に乗り込む。