大旗の白河の関越えは、新元号に持ち越された。盛岡大付(岩手)が1-9で龍谷大平安(京都)に屈し、東北勢は甲子園で平成最後の戦いを終えた。3回を除く毎回の12安打も初回から拙攻を重ね、守備と走塁でも小さなミスが目立ち、中盤以降に点差を広げられた。適時打がなく、残塁は2ケタを数え、得点圏では5打数無安打。「好機で1本」という永遠のテーマと向き合いながら、2季連続出場へ出直す。

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好対照な初回1死満塁の攻防がすべてだった。盛岡大付は1回表、絶好機をつくった。2番峰圭哉内野手(3年)からの3連打で1死満塁とし、打席は5番小川健成内野手(3年)。9回2死から同点2点適時打を放った1回戦のヒーロー登場に、先制パンチの機運が高まったが、皮肉にもここから暗転した。

小川 最初は変化球を待って、次は外角低めに手が出なかった。自分の甘さが出ました。

カウント3-1から、直球2球に手が出ず見逃し三振。6番平賀佑東外野手(3年)も追い込まれ、132キロの外角直球に空振り三振。その裏、詰まった三塁内野安打から1死満塁とされ、押し出し四球と2点適時打で重い3点を失った。

センバツ出場の立役者も、一冬で自分を見失っていた。平賀は第2打席以降も2併殺と空振り三振。公式戦でチーム1位タイの12打点を挙げた男が、内野安打1本のみの打点なしで甲子園を終えた。3月上旬から自発的に前重心の打撃フォームに変えたが、「前(昨秋)の感覚をまったく覚えていない。変に考えて、迷いながら打席に立っていた。準備が足りませんでした」と声を落とした。

チームの野球勘も戻らなかった。守備と走塁は、土の上で練習を始めてから4週間足らず。1回表1死一、二塁では、4番小野寺颯斗内野手(3年)の右前打で、二塁走者の峰が1度タッチアップに戻った。打球の判断が甘く、コーチャーの声も耳に入らず、先制点を逃す一因だった。今大会2度目の両軍無失策だったが、6回裏2死二、三塁で佐々木俊輔二塁手(3年)が深めに守って適時内野安打を許すなど、防げた安打も1本ではなかった。

安打数は平安の13本に1本足りないだけだが、完敗とも言える8点差。関口清治監督(41)は「1回で流れが変わった。個人の力は出せても、どこでヒットを出すのかが大事」。夏はライバル花巻東の巻き返し、157キロ右腕の大船渡・佐々木朗希(3年)も雪辱に燃える。挑戦を受けて立つ関口監督の覚悟とは?

「『1本出ない』を問い詰めながらやっていますが、答えが見つからない永遠のテーマ。試合を重ねて、ここで1本出るか出ないかの修羅場を経験することで、身につけていきたい」

注目の激戦区を突破し、県勢単独トップとなる夏11度目出場で、甲子園に帰ってくる。【中島正好】