郷土の歴史を塗り替える時が来た。第91回選抜高校野球大会(甲子園)の準決勝で、習志野が明豊に逆転勝ち。巨人長嶋茂雄終身名誉監督の故郷、佐倉シニア出身の根本翔吾主将(3年)が死球による欠場から復帰し、全員で勝利をつかんだ。千葉県勢としては、95年銚子商以来3度目の決勝進出。3日、県勢初のセンバツ優勝を懸け、東邦と対戦する。平成最初の優勝校を相手に、平成最後のセンバツを制する。

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ラストバッターの飛球とともに、新たな歴史への挑戦権をつかんだ。6-4の9回2死一塁、明豊・宮川の左中間への当たり。中堅・根本は「(マウンドの)飯塚は球速がある。左打者。多少、左寄りに詰めてました」と、あらかじめ左翼へ寄っていた。走りながらキャッチ。決勝進出が決まった瞬間を「あの9回は一番長く感じました。うれしさが込み上げました」と興奮気味に振り返った。

28日の2回戦(対星稜)で右足首に死球を受け、途中交代。打撲で患部は青く腫れ上がった。復帰まで1週間の診断で、間に合うか微妙だった。だが、アイシングと圧迫を繰り返す治療で「ここまで回復するとは」と、本人も驚く超回復。「怖さはなかった」と、1番でスタメン出場した。

そんな根本の存在が、チームの結束を固めた。2日前の市和歌山との準々決勝。ベンチ最前列で声をからす根本の姿を見た仲間たちは「もう1度、根本をグラウンドに立たせよう」を合言葉に競り勝った。この日も根本がカギとなった。3点を追う3回2死一、三塁。三塁走者として、一塁走者の角田と重盗を決め、反撃の生還。最後の守りも、根本とともにダブルキャプテンを務める竹縄俊希左翼手(3年)と息が合っていた。竹縄は「甲子園は応援がすごく、声が通らない。根本とアイコンタクトで(守備位置を)確認しました」と胸を張った。

さあ、県勢初の頂点まであと1勝だ。根本は「千葉代表として来ている。優勝旗を千葉に持って帰りたい」と、県民の思いを力強く宣言した。【古川真弥】

▽兼子将太朗捕手(3年) (2安打に)甲子園で少しきっかけをつかめた。ここまできたら優勝しかない。優勝をもぎ取りたい。

▽佐々木駿太内野手(3年) 勢いがある。いつもどおり試合ができればいい。

▽菅野辰志外野手(3年) 自分たちの形で野球ができれば点は取れる。失点しても焦らないようにしたい。

▽山内翔太投手(2年)(先発で6回3失点)2回以降は流れが来ると思い、打たせて取った。決勝も向かっていく気持ちで戦いたい。

▽小沢拓海二塁手(2年) (7回に同点打)中前の意識で振り切りました。必ず優勝したい。

▽角田勇斗遊撃手(2年) この勢いのまま、自分たちの野球をやって、絶対に優勝したい。

▽和田泰征三塁手(2年) (市和歌山戦で左手首死球も出場し)痛いは痛いけど、ここまできた。終わってから治療に専念したい。

▽高橋雅也右翼手(2年) 甲子園は2勝を目標にしていた。失うものはない。決勝は思い切りやって、優勝を目指すだけ。