平成元年(89年)のセンバツ優勝校・東邦が、同年以来30年ぶりの決勝進出を決めた。アルプススタンドには、この日から力強い味方が加わっていた。

準々決勝まで、フロリダ遠征で演奏しに来ることが出来なかった同校マーチングバンド部が合流。準々決勝まで友情応援で演奏していた大阪桐蔭吹奏楽部と、音を重ねた。東邦28人、大阪桐蔭120人。合わせて148人がスタンド23段分を使って、応援歌を奏でた。

東邦マーチングバンド部の部長伊藤結芽(ゆめ=17)さんは「やっと自分たちも甲子園に来ることができて、もう1度甲子園という場で(大阪桐蔭と)再会することができ、一緒に応援することができて本当にうれしいです」。

2校は3月17日、東邦が大阪桐蔭に出向き合同練習を行った。それ以来、一緒に練習はできず、この日が2回目で試合を迎えた。クラリネット担当の伊藤さんは、友情応援に「一緒に応援していて、ほんとに迫力がある。吹いていてもとても楽しいし、勢いがあってやはり(大阪)桐蔭の方はすごいなと思います」と感激した。

3月21日に日本を出発し、同30日夜に帰国した。遠征先のフロリダは日本との時差が13時間あり「夜の間に試合があったので、朝起きてすぐに試合をチェックしたりしました。帰りの機内などでも、みんなそわそわしていた」という。

「なんとか勝ち進んでほしいなと思っていました」と、聖地のアルプスで目を輝かせた伊藤さんは「勢いもあり、ここまでいい感じで勝ち進むことができていると思う。このままの勢いを保ち、ここまで来たら優勝するしかないと思う」。友情応援の力も借りて「大阪桐蔭という、とても強力な味方がいる。選手には精いっぱい、プレーしてほしいと思います」と、力を込めた。

東邦マーチングバンド部の白谷峰人監督(43)は、2校の合同演奏に「いいですよ。極上です」と笑顔を見せた。強力な援軍には「日本一になったチームの応援団、吹奏楽部としても日本一といわれるところなので、もう優勝する気しかしないです」。

17日の合同練習では、たった5時間で23曲を振り付けまでを合わせ「その場ですぐに吸収してやってくれた。さすが桐蔭さんだなと思った」という。

フロリダ遠征では、現地のディズニーランドやユニバーサル・スタジオでパレードを行った。現地での生徒の様子は「帰ってから行きたいという思いもあったでしょうから、行けると分かった時は喜んでいましたね」。帰国翌日をオフにし、4月1日に練習を行って、聖地入りした。タイトな日程にも「体調不良の子は1人もいない。やっぱり、やりたいことが目の前にあると、元気になるみたいです」。名門校との共演は、生徒のためにもなるといい「いい刺激になる。上質な音が真横から聞こえる。得るものはたくさんあると思います」と、相乗効果を話した。決勝の舞台でも、2校による合同演奏になるという。

決勝は「美爆音」と呼ばれる強力なアルプス応援の習志野が相手。東邦、桐蔭の「TT応援」と習志野の「美爆音」というアルプス対決にも注目が集まる。