公立校からドラフト候補に名乗り! 福岡大会では県立北九州の右腕エース、木村仁投手(3年)が11奪三振2安打2失点(自責1)で完投勝利。

帽子を飛ばすダイナミックなフォームで最速142キロの直球を中心に素材の高さを見せつけた。この日熊本、大分も開幕し九州全域で球児の熱い戦いがスタート。沖縄は一部、雨のため順延となった。

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最後の打者に、こん身の力を込めた。最速146キロの北九州の右腕エース、木村がプライドも込めた。

投げた後、帽子を飛ばして三振に取ると雄たけびを上げた。夏初戦で2安打2失点完投勝利。11個目の三振は狙って奪った。「最後は直球と決めていた」と胸を張った。

序盤は初戦の硬さからか、思うような投球はできなかった。2回に死球と自らのバント処理の失策から犠飛で1点を失った。「最初は緊張したが、途中から球が走ってきたので自分のリズムで投げられた」。スライダーでの空振り三振が増え、自慢の速球も走りだした。「帽子を飛ばすのはいつものこと。自分の持ち味でもあります」。大好きなソフトバンク千賀ばりの力を込めた投球がさえ、2点目を許した6回以外は安打すら与えなかった。

4歳から空手を習い、小6まで続けた。「空手で回し蹴りをするときのキレは投手として腰の回転のキレにつながってると思います」。180センチ、80キロの体格ながら、キレ抜群の球は「空手効果」から生まれたものでもあった。ネット裏で観戦したオリックス縞田スカウトは「直球に力強さがある。これからが楽しみだ」と将来性を高く評価した。

「150キロを目指し、勝てる投手になりたい」。昨年チームは北福岡大会で4強だった。「甲子園に行きたい。そのためにも目の前の敵に集中していきたい」。空手で培われた木村のダイナミック投法が夢実現へと導く。【浦田由紀夫】