安田学園(東東京)の熊本凜太内野手(3年)が声と打撃でチームを鼓舞し、チームを5回コールドでの初戦突破に導いた。

打者15人の猛攻で一挙12点を挙げた2回、2死一、二塁から左前に7点目の適時打を放った。「おふざけキャラ」だが、その観察力には森泉弘監督(63)が太鼓判を押すムードメーカー。この日の試合前も「今日絶対打つから写真たくさん撮って下さい!」と普段通り、チームで一番明るかった。

大きくリードした第3打席、2死満塁で満塁本塁打を狙った。二飛に終わり「今日は3打席目、満塁本塁打を狙いにいったのに…」と不満げだったが、理由があった。同級生の高橋凜投手のためだった。

同校では、自主練習で各自が必要な打撃練習に取り組んでいる。この1年間、熊本は高橋とコンビを組んだ。ロングティーでは「納得するまで、わがままを聞いて練習につきあってくれた」という。しかし、大会直前、高橋は右腕を骨折しメンバーを外れた。「最後の大会を一緒に戦いたい」という思いはかなわなかったが、高橋との自主練習を信じ、本塁打を狙ったのだった。

3回戦からは、1打席目からつなぐ意識で安打を狙う。高橋と一緒に戦うために、バッティンググローブを借りる。「全打席安打を狙います」と力強く宣言した。【加藤理沙】