感謝の倍返しだ! 工学院大付(西東京)の主将、高野太吾捕手(3年)は3点リードの2回1死満塁で左翼ポール際に本塁打を放った。「切れるかと思ったけど入ってよかった」。高野の試合を決定づける1発で、チームは杉並工に5回コールド勝ちした。

父の目は正しかった。高野は家で毎日1時間弱の素振りをする。それを眺める父博之さんは変化を感じとった。「昔は何をやってもすぐに諦めてしまう子だった」と言うが、最近は自信が伝わってきた。「新チームで主将になってから変わった。練習を見ていても分かる」。父の直感通り、2年まで本塁打ゼロだった息子は、大一番で高校通算7本目の本塁打を放った。

博之さんは91年夏、同校を初の4強へと導き、準決勝で2点本塁打を放った。今、そのホームランボールは太吾が大事に持っている。そしてこの日、自身と同じく4番捕手の太吾が満塁本塁打を放った。4点分のボールを贈り返され「よかったです」とうれしそうにほほえんだ。

92年を最後に、同校は4強に進出できていない。博之さんは「自分の代を超えてほしい」と期待する。それに応えるように、太吾は言った。「絶対に超えたいです」。決勝、さらにはその先の大舞台を目指す。【飯岡大暉】

◆高野太吾(たかの・だいご)2001年(平13)7月19日、東京都立川市生まれ。小3から「松中小ファイターズ」で野球を始めた。中学では「八王子シニア」に所属し、全国選抜大会で3位に輝いた。工学院大付では1年夏からベンチ入りし、秋の新チームでレギュラーに定着した。参考にする選手は古田敦也(元ヤクルト)、好きな芸能人は小松菜奈。170センチ、69キロ。右投げ右打ち。