三浦学苑の最速143キロのプロ注目右腕・渡辺倫太朗投手(3年)が、8回参考ながら今大会初の無安打無得点試合を達成した。この日の最速は140キロながら、内角を強気に攻め、縦横のスライダーを駆使しながら11奪三振。四死球2のほぼ完璧な内容で、小田原城北工を封じ込めた。

8回に味方が7点目を挙げてコールドゲームが成立。惜しくも参考記録とはなったが自身初のノーヒットノーラン。渡辺は「秋も春も自分が投げて負けているので、自分のことより、チームがまず勝てたことがうれしい」と、記録よりも勝利を素直に喜んだ。

中学時代に湘南クラブボーイズでジャイアンツカップ優勝も、桐光学園の谷村然、東海大菅生の中村晃太朗ら同期に好投手がそろう中で「4、5番手の投手だった」という。182センチの長身に、体重は入学時から15キロ以上増えて83キロ。直球の最速も10キロ以上アップした。今春県2回戦で平塚学園に敗退。「それまでは自分1人でやっている感じだった。周りへの感謝の気持ちや、リラックスして投げることを考えるようになりました」と意識改革。ネット裏で視察した日本ハム坂本スカウトも「脱力してリラックスして投げている。見るのは3度目ですが、心技体の成長が見えますね」と評価した。

エース好投に樫平剛監督(35)も「正直、秋も春もこれくらいの投球ができる投手だった。急成長というより『本来の力』です」と納得の表情だ。横浜の及川雅貴、横浜隼人の佐藤一磨(ともに3年)ら好投手がそろう神奈川に、「三浦学苑の渡辺」も名乗りを上げた。【鈴木正章】