大船渡東(岩手)の“朗希フレンズ”が花巻農を破り、16日に登場する大船渡・佐々木朗希投手(3年)より一足先に、初戦突破を決めた。先発9人中、6人が佐々木と同じ大船渡一中出身。エース右腕の菊地広翔投手(3年)は幼少期から遊んでいた幼なじみで、小学生時代は捕手としてバッテリーも組んでいた。この日は8安打を許しながら、要所を締めて完封。試合前に佐々木からLINEで「頑張れ」と連絡が入り「頑張る」と短く送信。「大船渡だけじゃない、東も頑張っているんだということを見せたかった」と意地を示した。

菊地は佐々木と常に寄り添ってきたが、挫折も味わってきた。11年3月11日の東日本大震災で被災。父を亡くした佐々木と同じタイミングで陸前高田市から大船渡市に移住した。内野手として活躍していた中2の冬に右肘痛に襲われ、投げることが出来なくなった。「それからはサポート役。代打とかで試合には出ましたが、コーチャーを務めていました」。中学での大会に区切りがついた3年時の9月、高校で野球を続けるために手術を決断。高校進学後は遊撃手として活躍し、昨夏も背番号6で主力を担った。新チームになって投手に転向し、今春から背番号1。「地域の人、指導者、支えてくれた人にプレーで恩返ししようと思った。チェンジアップは自信があります」。佐々木と同じ町のエースに成長した。

菊地だけでなく、フレンズ全員が勝利に貢献した。小笠原涼外野手(3年)が3回に先制の三塁打を放てば、田村丞捕手(3年)は左前適時打で流れを呼び込んだ。6回には岩城壮大内野手(3年)がスクイズで加点。小松右京内野手(3年)、村上友李内野手(3年)も好守をみせた。菊地は「対戦できる(準決勝)まで行ければ最高」と躍進を誓い、18日の3回戦では盛岡三に挑む。【鎌田直秀】